トランプが掲げる4大政策について | Akatsuki Financial Report
  1. TOP
  2. トランプ
  3. トランプが掲げる4大政策について

トランプが掲げる4大政策について

Republican U.S. presidential candidate Donald Trump delivers a foreign policy speech at the Mayflower Hotel in Washington, US April 27, 2016.           REUTERS/Kevin Lamarque  TPX IMAGES OF THE DAY

Republican U.S. presidential candidate Donald Trump delivers a foreign policy speech at the Mayflower Hotel in Washington, US April 27, 2016. REUTERS/Kevin Lamarque TPX IMAGES OF THE DAY

世間、メディアの予想に反して誕生した(現地NYタイムズも予想出来なかった)第45代大統領ドナルドトランプ氏。
肩書はともかく、その大胆な発言から察するに米国の新たな象徴となりうる可能性を持った人物と言えるのではないか。
選挙戦から現実離れした経済政策や排他主義を訴えてきた同氏であるが、当選以降の株式市場の反応はすこぶる良い。23日現在のNYダウ平均株価は、前日比59・31ドル(0・31%)高い1万9083・18ドル。3日連続の続伸で過去最高値を更新した。10月の米耐久財受注額も市場予想を上回り、買いが先行、景気敏感株と評価される建設業やキャタピラーも軒並み上値更新を達成しているのだからトランプ効果も「揣摩臆測」と切り捨てられないのが現状である。
先行きが明るい中、米国経済においてリスクオンの動きが強まるもののここではトランプが公言している4つの経済政策に関して言及していきたい。

トランプの4つの経済政策

大型減税

US dollart banknotes

US dollart banknotes

アメリカの「双子の赤字」というのは聞くに古臭い言い回しであるが、米国の経常赤字は4690億ドル※BOP(国際収支マニュアル)もあり、財政赤字に関しては5.1B$(約6120億円)というとてつもない額に達している。対GDP比227%もの借金を抱える日本人が言ったところで信用力はないが、米国の総債務残高はGDP比108.5%(2015年)、累計国債金額のうち30%程度が外国人保有者だといわれている。イタリア、ギリシャを沈めたようにヘッジファンドによる国債CDSの保証料率つり上げは考えにくいが、赤字爆弾を機に国債売りの点呼がかかってもおかしくない状況である。したがって大型減税という政策は財務を悪化させる可能性がある政策という見方がある一方で、かつてビルクリントンが行ったように高額所得者の最高税率のみを引き上げ、中間層をターゲットにした減税政策で「インフレなき経済成長」の再現を目標とすることは不動産王のシナリオの中にあるのかもしれない。当時レーガノミクスからクリントノミクスへの変換を遂げたことにより、財政赤字削減、政府の市場介入力は強まったのだが、妻ヒラリー氏が提案した国民皆保険制度は最後まで日の目を見ることがなかった。しかし保護貿易や国内産業の規制緩和といい、ドナルドトランプがモデルロールにしているのは賢明なる第41代大統領と言っても過言ではないだろう。

貿易協定の見直し

boueki.com

boueki.com

経常赤字に対しての「鎖国」ともいえる政策であるが、自国産業を守る含みもあるとはいえ、貿易の停滞に繋がって米経済に悪影響を及ぼしかねない危険な政策とも見て取れるだろう。鉄鋼、自動車株などのオフェンシブ銘柄が回復し、事実日本郵船のコンテナ船再編の動きもあった中で物流を流れを減速させるようなことが本当に可能なのかは疑問であるが、TPP不参加を含めた国内産業保護の方針は継続的な政策とみて間違いないだろう。ただ夏以降の景気回復が続いているうえ、景気循環でも在庫調整に入りつつある今自分に米国を迂回されるモノの流れを作られてしまうと株価下落、ドル安に逆循環してしまう恐れがある。しかしこのまま放っておくと大規模な経常赤字にもつながるので慎重な判断が要求される政策である。

不法移民の退去

fmexico
メキシコ人が流入したことに対する雇用の喪失を謳い文句にした政策であるが、選挙プロモーションの一環として発言したというのが順当な見方だろう。犯罪者や麻薬組織が強制送還されることに異論を唱える者はいないだろうが、果たしてメキシコとの国境に壁を作る正当性があるのだろうか。仮に施行したとして中部から西部にかけての中間所得層、貧困層に雇用が生まれ、経済の安定、物価上昇に伴う健全なインフレが見られるであろうが、果たして数年後はどうだろうか。NYダウが最高値更新、景況感指数が右肩上がりのチャートを示している今、この先米国にいる1500万人規模の就業者の数が潜在的GDPに追いつかない場合、雇用統計は短期間で喪失した安価な労働力を嘆くであろう。その時こそ自然失業率を下回って大規模なインフレが起こり、金利上昇、膨れに膨らんだバブルが弾けたとき、双子の赤字が本性を表すにちがいない。これは極端な筋書きかもしれないが、現在の景況感から考えても不法移民の撤去は難航すると思うが、市場が移民廃絶を織り込んで上値を更新しているのが不気味で仕方ない。

国内産業に対する規制緩和

p9230121
深く入れすぎた手をいったん引っ込めるという表現が適切だろう。市場競争を促進し経済活性化を果たすために行われるが、どの分野でどの場面かを明示していないため、今回は深い言及を行わないようにしておく。ただ、競争力のある産業というのは往々にして自国政府の介入をほとんど受けずに育っているため、保護貿易→自国の競争力強化→自由貿易の流れで米国商品に高付加価値をつけて売り出すことは好影響を及ぼすうえ、貿易黒字が出だすようだとまさに「鬼に金棒」状態であろう。経済学者の田中秀臣氏が指摘しているように「貿易自由化や規制緩和の効果が実際に現れるのは、長いスパンが必要であり、5-10年で見ないと良し悪しは言えない」という意見もあるが、株式市場や為替取引がこうしたリスクをいかに織り込んでいくかが楽しみである。